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小西 哲之; 長崎 正雅; 奥野 健二
Journal of Nuclear Materials, 223, p.294 - 299, 1995/00
被引用回数:101 パーセンタイル:99.07(Materials Science, Multidisciplinary)金属間化合物ZrCoは室温付近で水素同位体を吸収する一方、400度付近で1気圧程度の圧力のガスを放出するため、金属ウランの代替物質としてトリチウムの回収貯蔵、供給に広く使われつつある。ZrCo水素化物中には加熱水素放出時にも僅かの水素が残留し、またそれが時として水素吸蔵容量の減少を伴う現象として進行する。X線分析の結果、通常の使用温度より高い450度以上の高温で、かつ水素化物の分解しない高水素圧下でZrCoHxがZrHとZrCo相を生ずる2ZrCo+H-ZrH+ZrCoの不均化反応が起こることが見い出された。この過程は可逆で、不均化反応で生成した物質は500度以上での数時間の真空排気によりほぼ完全にZrCoに戻る。この結果から、実用的にはZrCoの使用限界と、不均化反応が起きたときの再生法が得られる。
小西 哲之; 長崎 正雅; 林 巧; 奥野 健二
Fusion Technology, 26(3), p.668 - 672, 1994/11
金属間化合物ZrCoはウランの代替物質としてトリチウムの回収,貯蔵,供給に広く使われつつあるが、時として加熱再生しても水素が残留し、吸蔵容量が減少する現象が発生する。X線分析の結果、これは比較的高温,高水素圧下でZrCoHがZrHとZrCo相を生ずる不均化反応と判明した。この過程は可逆で、不均化した物質は高温真空排気によりほぼ完全にZrCoに戻る。不均化は400度以下では極めて遅いためZrCo基の、より水素平衡圧の高い物質が合成できればこの問題を回避できる。HfCoはZrCoと同一の結晶構造、近い格子定数を持ちZrCoと固溶体を作ることが期待される一方、水素に対しては数桁高い平衡圧を示す。Hf,Zr,Coの混合溶解で生成した物質はX線分析の結果単一相を示し、その水素平衡圧の温度変化はHfCo含有量によりほぼ平行移動する。この結果は任意の水素平衡圧を持つ貯蔵材料を合成できる見通しを示唆する。
藤野 威男*; 山下 利之; 大内 金二; 内藤 奎爾*; 辻 利秀*
Journal of Nuclear Materials, 202, p.154 - 162, 1993/00
被引用回数:11 パーセンタイル:72.08(Materials Science, Multidisciplinary)1273KにおけるUPuOの電気伝導率()を酸素分圧10~10Paの範囲で測定した。酸素分圧10Pa以下では、電気伝導率は酸素分圧に依存しないが、をyに対してプロットした曲線ではy=0.5付近で最大となった。この領域の電気伝導機構をホッピングスはスモールポーラロン理論に基づいて解析した。電気伝導率が最大を示す現象は不均化反応(Pu+U=PuU)を考慮することによりうまく説明できることがわかった。UPuOの電気伝導の活性化エネルギーは1273Kから急冷した試料を用いて測定した。求めた活性化エネルギーはy=0.05の0.52eVからy=0.90の0.75eVまで単調に増加した。この変化はウランイオン間での活性化エネルギーの値とプルトニウムイオン間での値が異なると仮定することで説明できた。不均化反応の速度は遅いため、急冷した際、UとPu濃度は温度に依存しないと考えられる。
館盛 勝一
Journal of Nuclear Science and Technology, 28(3), p.218 - 227, 1991/03
硝酸溶液系におけるアクチニド元素のふるまいをシミュレートするため、放射線作用によるHNOの生成と分解、酸化還元反応、不均化反応等30個の化学反応の速度式を組込んだ計算コードREACTを開発した。最初にREACTコードの主要な構造を述べ、次に、亜硝酸の蓄積、プルトニウム溶液の安定化過程について計算結果と実測値との比較を示した。その結果、Pu(IV)の酸化過程に関しては、放射線分解生成物の寄与を考慮しなければならない事がわかった。他の計算例として、PuやNpのウラナスあるいはHANによる還元過程、Np(V)のNp(IV)への酸化現象について示した。
館盛 勝一
JAERI-M 90-018, 86 Pages, 1990/02
ウラン、プルトニウム、ネプツニウムの硝酸水溶液系における原子価変化をシミュレートする、アクチニド元素の化学反応数値モデル;REACTコードを開発した。いくつかの還元剤も含む酸化還元反応や不均化反応、放射線による亜硝酸の生成と分解反応等27個の化学反応の速度式がREACTコードに組込まれている。これらの速度式を解くために、Porsing法等8種の数値解析法が反応系に応じて選択できるようになっている。本報では、化学反応と反応速度式、数値解法といったコードの内容と、いくつかの計算例を示し、appendixにコードのマニュアルとプログラムのソースファイル一式を載せた。
森田 泰治; 久保田 益充
Journal of Nuclear Science and Technology, 24(3), p.227 - 232, 1987/03
被引用回数:32 パーセンタイル:92.35(Nuclear Science & Technology)ネプツニウムは、高レベル廃棄物の処理処分上最も重要な元素と考えられるようになっており、現在その分離法の開発が進められている。これまでに、DIDPAを用いればV価のNpを抽出できることを見い出していたが、その抽出機構は不明であった。本研究では、有機相中でのNpの原子価を調べることにより、Np(V)の不均化反応が関与していることが確認された。Np(V)とDIDPAとのInteraction及び不均化反応の2段階で抽出が進んでいるものと考えられる。さらに本研究では、抽出プロセス開発の基礎となる抽出速度に対する検討を行い、その結果抽出反応の次数が1より大きく、抽出速度がNpの濃度にも依存することがわかった。また抽出速度はDIDPAの濃度に大きく影響されることがわかり、抽出器内の錯体を作っていないDIDPAの濃度分布を知ることが重要であることが指摘された。他に硝酸濃度、温度に対する依存性についても調べられた。